夏の間AOI Pro.でインターンをしています、Jackieです。中国の北東部で生まれ育ち、今はカリフォルニアのScripps CollegeでDigital Media Studiesを勉強しています。

本日紹介するのは、今話題の”Tiny Times 3″。現在の上海を舞台にした映画です。2013年に公開されていた”Tiny Times 2″の続きとして、映画のもととなったベストセラー小説を書いた本人であるGuo Jingmingが監督を務めました。4人の女の子の友情、ロマンス、大学卒業後のキャリアについて描いたものです。
映画は、オープニング初日だけで約1億元 (約1800万USドル)、最初の週でも約3億元を稼ぎ、中国映画史上最大のヒットとなりました。皮肉なことに、これだけ興行成績が良いにも関わらず、中国最大の映画サイトdouban.comの批評では10点中の4.4しか取れないなど、評価が芳しくありません。中国オーディエンスがなぜこんな低クオリティな映画に惹かれるのか、不思議に思う人もいるかもしれません。

tiny times

ソーシャルネットワークのパワー-中国版Twitter “Weibo”
Weiboは、中国で最も人気のあるウェブサイトです。FacebookとTwitterを掛け合わせたハイブリッドだと考えられています。Guoは、Weibo上のページで常に”Tiny Times 3.0″についてアップデートをすることで、Weiboユーザーが簡単に映画の情報を追えるようにしました。2013年12月に映画の撮影が始まってから、構想、キャスティング、そして美術に関する事柄を取り上げた公式ティザーを少なくとも5本は公開しました。またGuoは、舞台裏や、俳優や女優が語り合ったりする様子のビデオや、テーマに分けたオフィシャルポスター、そして撮影現場で撮った可笑しな写真などもポストしました。出演者達もそれらのポストをシェアしたり、自らポストしたりとしていました。

俳優編:

衣装編:


豪華な衣装

Tiny Timesの登場人物のほとんどは、とてつもないくらいに裕福な人物として描かれており、小説の中でも豪華なパーティシーンが数多く登場します。Vogue Chinaの前チーフエディターで、Tiny Timesの衣装スーパーバイザーでもあるHuang Weiによると、撮影には8000もの衣装が使用されたとのこと。しかもほとんどの衣装、アクセサリーはChanelやLouis Vuittonのようなトップブランドによるものなのです。中には限定版で、かなりレアなものも含まれています。例えば、メインキャラクターのLin Xiaoがパーティシーンで着用していた赤のガウンは、Bottega Venetaのファッションショーから拝借したもので、世界で1点しかないものなのだそうです。もちろん、これらは全てオンラインで公開されるティザー内で何度も強調され、それによってより多くのオーディエンスの注目を集めることになりました。

既存のファンと、セレブ効果
“Tiny Times 3.0″のオーディエンスのほとんどは、映画を見る前にすでに小説を読んでいる人たちです。Guoによれば、小説の登場人物を信じられないくらいの美男美女として描いていたため、起用する俳優、女優を決めるのに苦労したとのこと。彼は、海外の有名俳優、歌手、そしてファッションモデル(演技力には関わらず)を呼ぶことで、これを解決しました。主題歌は、中国の有名歌手Jolin Tsaiが歌っています。

映画のクオリティはともかく、Tiny Timesはオンラインプロモーション、マーケティングの面では、とても良い結果を残したのだと思います。ソーシャルメディアを効果的に活用したからこそ、興行成績での成功に繋がったのです。このルールが当てはまるのは何も映画だけではありません。Weiboや、Wechatが中国でも最もポピュラーなソーシャルネットワークとなった今、これらは、ユーザーの主なニュース源でもあるのです。ソーシャルメディア上でプロモーションを得意とする人は、中国マーケットでは大きなアドバンテージと持っていると言えます。

Written by Jackie