毎年この時期になると、国際部ではカンヌの受賞作品を我らの独断と偏見で予想してブログアップしています。
今年の第一弾がこちら!今週毎日ちょっとずつアップしていくので是非チェックしてくださいー。

Beats by Dre – "The Game Before The Game" from Brewster Parsons on Vimeo.

Title: The Game Before the Game
Client: Beats By Dre
Agency: R/GA
Production: The Sword Fight
Director: Nabil Elderkin

こちらは昨年のワールドカップ直前にリリースされたBeats by DreのCM。通常はNikeやAdidas等が独占するスポーツCMの領域に、スポーツブランドでないBeatsが堂々食い込んだことで話題をさらいました。タイトルの “The Game Before the Game”からも伺えるように、アスリートたちには試合の前にもう一つ、どれだけ自分の気持ちの準備ができるかという大事な勝負があります。このCMに出てくるトップアスリートたちはそれぞれ試合前に自分だけの「儀式」を行い、その一つとしてBeatsのヘッドフォンで音楽を聴いて自分をふるい立たせます。これだけの著名人を多く使っておきながら、その話題性に頼ることなくきちんと観客を引き込むストーリー仕立てになっている点、そしてまたBeatsはそれらの選手の試合前の味方となり、強い支えとなっているのだという広告としてのアピールにもしっかりつながっている点がすばらしいです。
監督はミュージックビデオを多数撮影しているNabil Elderkin、テーマにぴったりの曲はJamie N Commons & The X Ambassadorsの”Jungle”。音楽ブランドとしてもふさわしいミュージックビデオ風にアレンジしている点もよいですね。

IKEA – The Joy of Storage from Lasse Frank on Vimeo.

Mankind: Violence is Violence from Big Buoy on Vimeo.

Title: Violence is Violence
Client: Mankind
Agency: Dare, London
Production: Dark Energy
Director: David Stoddart

昨年5月にリリースされ話題となったこのCMは、DVの女性被害者と男性被害者の扱われ方の違いを顕著に描き出しています。
前半シーンで男性が女性に暴力をふるい始めると、とたんに周囲の人々が駆け寄り女性を助けようとします。ところが後半立場が逆転し、男性が女性にひどいののしり言葉と暴力を浴びせられても、周囲の人々は一向に止める気配もなく、少々面白がって見ているだけ。DVの被害者のうち、なんと40%もが男性なんですね。”Violence is violence”(暴力は暴力)という言葉でしめくくり、被害者は性別に関係なく守られる権利があることを訴えます。Mankindは特に男性被害者へのサポートを提供することを目的とししたロンドンベースのチャリティー。あえて男性と女性を入れ替えて全く同じシーンを繰りかえす描き方はとてもわかりやすく、強い印象を残します。ディレクターのDavid Stoddartは、なんと昨年話題となっていたSolange(ビヨンセの妹)のJay Zに対するエレベータ内の暴行の映像からアイディアを得たとのこと。性別に関しての世の中の意識が特に高まっている今の時代、こういった問題に対して議論をしていくことは避けられないことではないでしょうか?