(前編からの続き)

まだ3つあります。テキパキ行きたのですが、そうも行きません。
が、進めます。

□Prediction

これはアドテクノロジーのカテゴリーでかなりのキーワードでした。プレディクション、つまり予言です。

以下がポイント。
□ビッグデータとか言ってないで、次に行こう。予測だ。企業戦略も都市計画も、ヤツが次に何を買うのかも、全部予測の時代。

□Netflixヤバそう。

では以上2点をまとめて。

<全てが予測へ>
ビッグデータ蓄積/解析
→アルゴリズム
→レコメンデーション(のA/Bテスト)
→パーソナライズ成功
→予測
という順番にコトは進みます。
まあ世の中そう簡単にそうはなってませんが。。

この予言がパーソナルな局面、企業の事業展望の側面、都市計画の側面、様々なことに応用されつつある状況が話されていました。

パーソナルな局面では②で記したFacebookのエッジランクやgoogleのアルゴリズムによる、人間の日常アクティビティの解読。
あるいは、Netflixのコンテンツレコメンデーションによる、コンテンツ嗜好性の解読。
これらは方向は違えどパーソナライズを目指す動きでしょう。
特にNetflixは利用者の8割近くがオススメされたコンテンツをみているとの報告もあります。ここまで来ると、もうプレディクションが出来るフェーズに来ているのかも。
Netflixは自社ドラマも作り始めていますが、これなどはみんなの嗜好性を把握して制作する、まさにデータドリブンなコンテンツそのものでしょう。ハリウッドの映画も少なからずシナリオ段階でデータ予測をして制作しているようです。

都市計画については、オースティン市の取り組みが紹介されていました。過去データを元に、未来予測をして先手を打つ、これもデータドリブンな行政計画。テックに強いテキサス大オースティン校とタッグを組み、UT Villageというチームを組織。チームは3D都市地図に時間軸を持ち込み、今後予想をしやすい視覚プラットフォームを作っています。最近話題のリンクト・オープンデータ(LOD)の良い活用例、とも言えそうです。

なんかまあ、パーソナライズ次元だとすると、この辺のことまでされたら流石に嫌ですが。。都市くらいの次元だと許せるっていう、、この感覚はなんなんでしょうか。都市を構成するのは結局我々だったりするのに。
幸せに生きたいならお前のデータをオープンデータとして出せ、巨大脳で予言してやるぞ、みたいなことになって行く方向でしょうか。
色々モヤモヤしますがプレディクション。

□Radical Breakthrough

ちょっとキーワードの質が変わりますが、「本当に革命的インパクトをもつテクノロジーってどの辺だったか?」
です。

3つあげようと思います、Google、合成生物学、Pixie Dust。

□Google
まずはジャイアントのGoogle社。毎度おなじみのAstro Teller氏(勿論ペンネームです)率いる未来プロジェクトラボ、GoogleXのキーノートからいくつかを。

※project loone


※flux

disconnect
※Google Brain

と、色々あるわけですが、一番凄そうなのはGoogle Brain。何をするものか、は具体的には言ってませんでしたがそりゃわかるだろ?みたいな感じもします。えーとすみません、国家って大丈夫なんでしょうか。

□合成生物学 MIT
MITメディアラボの伊藤襄一氏を中心に、シンセティックバイオロジー(合成生物学)のセッションも行われました。

要は遺伝子解析などから、生物のもつシステムを解明=リバースエンジニアリングし、そのシステムをハックして現実社会の課題(特に当面は医療など)に応用する分野です。遺伝子の組替え、操作も当然入ってきます。

発光する植物を作ったり。。
木が夜道を照らす!?ホタルのように自ら光り輝く植物を開発

※デュポン社が開発した、再生可能資源としてのポリマー、ソロナ。プラスティックの代替になると期待される

現在この分野での門戸開放は急激で、DIYbioという、10万円程度のキットで、普通の人でも手軽に遺伝子ハックができるムーブメントも出てきたようで、、、そのうち「不思議な生き物たち」が毎日発生してくる世界がくるのかもしれません。

この世界、特に医療系では国際大会もあり日本では京都大学が有能なプレーヤーとして君臨しています。

そして、このシンセティックバイオロジー、現在のコンピューティング体系を凌ぐ社会的なプログラム基盤になり得るという、壮大なビジョンを持っています。つまり、最適に解析、ないし生成した生命システム自体を、既存の社会システムに適用して様々なシステム不整合をなくして行くと。たとえば、生物の代謝制御機構を分析し適合することで、交通ネットワークの最適化などにも使えたりするかもしれないと。あるいはコンピューターの代替=DNAコンピューターと言われるものです。生き物が計算してくれる世界ですね。
多分この辺はどんどん出てきそうな予感がします。不思議な生き物たちはあまり見たくないですけど。

□Pixie Dust
現代の魔法使い、と呼称される東大博士(今春から筑波大助教)の落合陽一氏のプロトタイプ。なんとまだ27歳にして、IoTはもう古い、21世紀は人間が主役でモノが動く時代、というビジョンで最先端技術でアートをモノす。。こういうものです。

※Pixie Dust

空中に音場を作り、コンピューティングで物体をピタリと浮かせたり、応用で空中に触覚を作ったり、スクリーンを作ったりと、まさに魔法のような技術のプロトタイプが展示されました。(実際展示したのは浮くやつ)
トレードショーに出品されてたのですが、観客はちょっと理解が追いついてない感じでした。
でも今後を考えると、全てが先のIoEになれば、、、仮に脳味噌センサーができたら、、バンバンものが浮いたり、物質の組成が目の前で変わったり。。しかねませんね。いやまあ、大きく考えれば、です。でもその方向で進んでいくような気もします。
凄いです。そして落合さんのキャラはもっと凄いので興味ある方は色々見てみてください。

→世界を知能化する脳の開発
→コンピューターを凌駕するかもしれない生物学
→物体が我々の意思で動く?時代

これぞ未来ですよ。

□Hack the Show

最後に趣の違うキーワードを。
今年のSXSWは結構ハックされてました、という話です。すみませんセッション関係ありません。。

□Meerkat
上記で触れましたが、今年のSXSWで一番イケテたサービスは?ということではみんな(米国人は)Meerkat!ということになってました。
仕組みは、放送し終わったら消滅するツイキャスです。以上です。なんで流行ってたのかは、、、わかりません。
SXSW開幕の2週間前にリリースし、SXSWで大ブレイクしましたが、これトレードショーにもピッチにも出していません。逆にそういう正規の手続きを踏まずに、数万人が集まるSXSWというイベント自体をハックしてブレイクしたという感じ。サービスの特性と掛け合わせ、非常にうまいことやりました。

□tinder
上で触れた、EX machinaのプロモーションに出会い系アプリTinderが使われていました。これは既報で色々載ってます。
http://adgang.jp/2015/03/90790.html

□デモ(tenthbit社のアプリCoupleのプロモーション)
何度もすみませんが、これもですね。会場外で仕掛け、想定外にバイラルしてしまった感じです。

あと、SpotifyやLyftなど、基盤を固めつつあるプレイヤーたちが盛んにパーティを開き、ブランドのさらなる浸透を狙っていたのが印象的でした。

AOI Pro.がプロデュースのお手伝いをさせて頂いたJAPAN DAYもそうですが、場外で何をやるのか?というのもSXSWのハックとしてますます来年弾みがつきそうです。

というわけで、長々お付き合い頂き誠にありがとうございました!