毎年、これから来るであろうトレンドを探る為、多くの“クリエイティブ”業界の人間がCannes Lions Festival of Creativityに押し寄せます。今年だけでも、18カテゴリに、実に76,000ものエントリーがありましたが、その中で何か受賞したのは、たったの1589作品!!昔、参加者と言えば、広告会社や制作会社のクリエイティブくらいでした。今では、ブランドを次のレベルに押し上げる方法を学びたいメディアバイヤーやクライアントも沢山参加するようになりました。

Cannes Lionsに参加するには、実に70万円近くのコストが掛かります。ちょっとした財産です!入場料、フライト代、宿泊代、食費に交通費などを考えたら、本当に自分の、そして自分の会社のブランディングを高めるくらいの覚悟で挑まねばなりません。皆が皆、このような費用を工面して、オフィスを離れられるわけではありません。それに、もしCannesに行ったとしても、あまりにすることが多すぎて、全てのセミナーに出席することなどとても出来ません!でもラッキーなことに、わたしたちにはCannes Lions TVがあります!!ここではセミナーだけでなく、様々なメインスピーカーや審査委員長のインタビューを見ることができます。

https://www.youtube.com/user/canneslions

大変インスパイアされますし、また洞察を得ることが出来ます!英語が理解できるのであればの話ですが!!!驚くべきことですが、残念ながら、世界で見てみても、日本のクリエイティブ業界で働く人々の英語力は決して高いものではありません!オリンピック開催を控え、クリエイティブ業界、そして日本全体が英語にもっと力を入れなくてはならないのです。こんなことを書きながら笑えてきちゃうのですが、Cannes Lionsのビデオが、英語を勉強し、理解する為のきっかけとなるかもしれません。英語が理解できないと、ビデオ内で繰り広げられる洞察、ユーモア、エンターテイメントが全て意味を成さなくなってしまいます。

まずは、Cannes Lions TV Meets 2014のバックステージインタビューシリーズから初めてみましょう。このYouTubeプレイリストには、43のショートインタビューが収められています。スピーカーがセミナーで言わんとしていたことが、全てココにまとめられています。

http://www.youtube.com/playlist?list=PLNoW8IoHWYZx3yw-qZ9qoEv0KNGXDgsFU

例えば、Facebook COOのSheryl Sandbergは、MOBILEとクリエイティビティに関して話しています。ここでは、MOBILEの重要性が、何度も何度も取り上げられていました!クライアントは、MOBILEの可能性をより真剣に考慮しなければなりません!!もうTVCMのように一方通行に情報を発信する時代ではないのです!!TVはただ座って見るだけですが、モバイルはコネクトし、エンゲージし、シェアすることなのです!!Sandbergは“よりパーソナルな方法で、マーケティングをしなければなりません。人を考えさせるようなコンテンツやメッセージを作るのです。”と言っています。


日本は、世界でも最もテクノロジーが発展し、スマートフォンユーザーベースも非常に大きな国です。電車に乗っている時、ちょっと顔をスマートフォンから上げれば、向かいに座るほぼ全ての人が自分のスマートフォンやタブレットに夢中になっている光景が見られるでしょう。スマートフォンは、あなた自身の延長であり、そして最も親しい友人だといっても過言ではないのです。何処へでもあなたをお供します。ブランドにとっても最も大きなチャレンジと言えるのが、REAL(リアル)タイムに、場所に関係なくYOU(あなた)とAUTHENTIC(本物)な関係を築くTRY(努力)をすることです!これを達成する為には、もうTV番組の間に無理やりに見させるようなCMではなく、人がいつ何時でも自らWANT AND CHOOSE(求め、選ぶ)するようなCONTENTを作る必要があるのです!!Unilver のMarc Mathieuは、“かつて、マーケティングとは、作り話を物語るということでした。今それは、真実を語り、シェアすることに取って代わられました”と言っています。

YouTubeは、これまでのTVCMを見るという常識を変えてしまいました。Cannes Lions TVは、YouTubeのスターであるKassemGと、Newcastの Global Chief Content Officerである Mark Waughとも話しています。彼らはYouTubeのパワーについて、またユーザーがどれだけ簡単に本物でないものを見抜けるかについて語り合っています。AUTHENTICであることが、SUCCESSのKEYなのです!!クライアントは、自分はAUTHENTICだろうかと自問する必要があります。商品を売るだけのREALな相乗効果を期待できないような、母と子を使ったりしていませんか?!!ただ演技する役者ではありませんか?台詞を読んでいるだけです!でも、コンシューマーはそれよりずっと利口です!これが偽者の関係でしかないことは直ぐにわかります!!REALなPEOPLEを探すべきです!!そしてREALなSTORYを!!ファンがブランドをBELIEVEするように!REAL LIFE STORYは、よりEMOTIONALですし、興味をそそりますし、また説得力があります。


女性の心を溶かしてしまうような魅力を持つ俳優&シンガーのJared Letoは、クリエイティブであることの意味と、広告について自分の考えを述べています。彼は、最近では“ADVERTISING”とは汚い/悪い言葉であると述べています!広告と感じられない広告でなければいけないのです。広告とは、エンターテイメント性に富んで、情報豊かで、会話を促して、面白くって、人生をより興味深いものにするものであるべきと言っています!


またMcGarryBowenのセミナーでは、俳優のRob LoweがGordon BowenとSTORYTELLINGとブランディングについて話しています。基本的には、他の皆が言っているのと同じことを語っています!Robは、“広告はAUTHENTICにならなければいけない!HONESTでなければ!REALでなければ!ENTERTAININGでなければ!”と言っています。またBowenも“もはや閉じ込められたオーディエンスではないのです。NANO SECOND(一瞬)でZAP(別に移ってしまうこと)が出来るのです!ここで一番考える必要があるのは、どうしたら人がついて来るように楽しませ続けられるかということです。今では、かつてのメディアでは出来なかったような長いコンテンツを制作することが出来るようになりました。”と語っています。


Mindshare North AmericaのChief Strategy OfficerであるJordan Bittermanと、BuzzfeedのCo-founderでありCEOのJonah Perettiは、メディアワールドの様相の変化について語り合っています。Peretti は言います“Silicon Valleyから、CONTENTSが広がるようなプラットフォームへの投資はありました。けれどもこのようなネットーワーク用のCONTENTをMAKEする方にはそれほどの投資は無かったのです”。また彼は、“人はユーザーにより作られたコンテンツが好きです。けれどもプロの手によって作られたコンテンツも好きなのです。それではプロによるどのようなコンテンツが、このようなプラットフォームでは広がるのでしょう?それが問題なのです!”とも言っています。“データに取りつかれた人たちと、クリエイティビティに取りつかれた人々の間に不和があります…自分の作ったものに対するフィードバックがリアルタイムで得られるのは、クリエイティブの人間にとっては最高のことと言えるでしょう。より多くのものを公開し、より多くのアイデアをローンチし、より多くのことを素早くトライでき、どれが効果的で、どれがそうでないか、直ぐに知ることが出来ます。それがあなたをよりクリエイティブにします。自分のアイデアに対して継続的にフィードバックを得ることが出来るのです。”


Coca-Cola CompanyのWendy Clarkは、クリエイティビティと“リアルタイムで勝つこと”について話しています。彼女は“今、わたしたちは、コンシューマーと株主の要求に応える唯一の方法として、REAL TIMEに運営することが求められています。ブランドを取り囲む会話を聞いて、分析し、生かさなくてはいけないのです。”と言います。また“ART、COPY、CODEそしてDATAを一緒にまとめます。単により多くのCONTENTを押し出すのではないのです。YouTubeには、毎分、100時間以上分のコンテンツがアップロードされています。コンテンツをリアルタイムに押し出すのがゴールなのではありません。ブランドをサポートし、違いを作れるような、クリエイティブで、素晴らしくパワフルなSTORYTELLINGを持つものでなくてはいけません。そのほうがブランドにとってもインパクトが大きいのです”と語っています。

2年前と比べれば、広告をYouTube上に上げるクライアントも多くなってきましたが、まだ充分に機能しているとは言えないようです。もっと積極的にコメント欄を使ってコンシューマーの声に耳を傾ければ、たくさんの気づきが生まれるはずです。
確かにネガティブな反応や心無いコメントのリスクもあるのですが、コンシューマーとのコミュニケーションを恐れているだけでは、聞こえてこないのです。今日では、リアルタイムに反応すること!そして人が自ら見たいと選ぶコンテンツを制作することが何よりも大切なのです!!

REAL TIMEに、その時点でRELEVANT(関係ある)何かを作ることは簡単ではありません。考えても見てください!典型的な広告は、最終的にオンエアされるまで制作に何ヶ月も掛かかりますが、その間、世界は常に変わっているのです。6ヶ月前にはクールだと思えたアイデアが、公開時には、まったくクールではないかもしれません。ソーシャルメディアとインターネットは、瞬時に作ったものを世に出すことを可能にしてくれましたが、何よりもREAL TIMEに行動し、反応するチャンスを与えてくれました。


Cannes Lions TV Meets: David Droga & Sir John Hegarty –
この2人は、現在の広告業界のキングといえます!!Hegartyは“こんなにもテクノロジーがあるのだから、我々はもっと良くなっていくべきなんです!!それなのに、どうも後退しているように思えます!”と言います。 Drogaも、“遊べるおもちゃはいっぱいあるのに、どうやって使いこなせばいいのかわかっていないんです”と言っています。Cannesで最も多く表彰された人たちなのです!!オリンピックを控え、HegartyのGLOBAL広告に関するアドバイスには、考えさせられるものがあります。”グローバル広告は上手く機能しない!“


またCannes Lions TVは、伝説的なディレクターで、Lion of Saint Mark の受賞者でもあるJoe Pytkaにも、彼自身のキャリアや、どこからインスピレーションが沸いてくるのかを聞いています。仕事で世界中を回って、沢山の素晴らしい人々と仕事をしてきた中で、広告会社が、どれだけプロジェクトへの承認を得る為に苦労しているのか見てきたと語るところに、とっても共感しました!!広告会社が苦労しているのはずっと見てきましたから!!クライアントにアイデアを売り込み、彼らを納得させるのは、クリエイティブにおいて最も大変な部分と言えるかもしれません!!もしクライアントがクリエイティブをもっとTRUSTしてくれたなら!!


Big SpaceshipのMichael Lebowitzは、どうやってもっとクリエイティブな組織を育てていくかについて語っています。私は特にこれを面白く感じました。なぜなら日本の会社は、全体的に見て、部署ごとのシナジーが足りないと思うからです。Lebowitzは“どの組織でも、面白いスキルを持つ人々を互いから離すことが、クリエイティビティの1番の障害となる。”と言っています。わたしが特に共感したのは“私は人を雇うのです!役職ではなく!”と言うところ。また彼は、人が意見を言えるような社風、環境にすることが大事だと言っています。“人が意見を言わない一番大きな理由は、社会的に拒絶されるのではという恐怖です。だから、恐怖を煽るような環境を作るのは止めましょう。”とも言っています。


Twitterの Joel Lunenfeldと、俳優のSir Patrick Stewart は、ソーシャルの何がセレブリティを惹き付け、そしてTwitterの何がSir Patrick Stewartの新しい一面を世界に紹介することになったのかについて語っています。この短いインタビューで、きっとあなたもSir Patrick Stewartの虜になってしまうでしょう!彼はAUTHENTIC!Twitterに参戦するのなら、これこそがブランドがすべきことなのです!!


GoogleのChief Business OfficeであるNikesh Aroraは、クリエイティブな組織の作り方と、テクノロジーがどう世界を変えることが出来るのかについて語っています。彼は“もしあなたの会社の創設者が世界を変えようと思っているなら、まだ熱心に求めているなら、まだ情熱があるなら、実現させたいと思っているなら、平均では満足しないのなら、その考えは組織全体に染みわたります。”と言います。また彼は、最も記憶に残るのは、誰かが何か期待していなかったことをやってのけたときだと言っています。そこで、あなたの会社の創設者が誰なのか、また同じような価値観を持っているのか、自分に聞いてみてください。彼らはあなたをインスパイアしていますか?


また見逃してはならないプレイリストが、審査委員長がGRAND PRIXを獲得した作品について語るインタビューです。プレイリストには、ビデオが17本。なんでこれが選ばれたんだろうと疑問に思っている作品があれば、見てみましょう!

http://www.youtube.com/playlist?list=PLNoW8IoHWYZyitAJbc_6DBw-Hy670UKLD

McCann Worldgroup のIndia/South Asia におけるChairman, CEO /Chief Creative OfficerであるPrasoon Joshiは、Titanium & Integrated でグランプリを獲得した作品に関して語っています。なぜ日本のHONDA Sennaがグランプリを獲得したのか。 “テクノロジーは時に冷たいと感じられる。DATA、DATA、DATAばっかり!けれども、ここでは、データを使ってEMOTIONALCONNECTIONを作るのに成功しています。どのようにしてデータを使い、それに温かみを加え、ブランドを構築するのかが描かれています。歴史的なデータを使って、未来的なものが作り出しているのです!”と語っています。

沢山ある中から、ほんのちょっとインタビューを抜粋しました!もし時間があるのなら、是非全て見てください!これが日本の業界に変化を作り出すきっかけとなればいいです!”Cannes Lions TV Meets“で探してみてください。

Enjoy!