[カンヌ2014] 〜6日目、音楽セミナー〜
海外くると爪切りたくなりますよね、どうも吉川です。
もってるんで、借りたい人いたら連絡ください。
今日のフォーラムはテーマが「音楽」で、朝から晩まで音楽にまつわるセミナーが行われていました。
その中で朝の「広告音楽のルネサンス期。ジングルからブランドメロディへの移行」というセミナーがけっこうおもしろかったです!
昔、TVCの音楽といえば「ジングル」でしたよね。
こんな感じの。
“スキーが磨けたらジュシーフルーツの時間、味が君を動かすぜ!ムーブユーアップ!ムーブユーアウト!味が口の中ではじけたら動き出さずにはいられない!”
ええ時代や・・・なんだかほっとします。おばあちゃんちのたんすの匂いみたいな。
今みるとださいけど、昔はこれが当たり前でした。こうやって局にメッセージをのせることで、
伝えたいことも直接伝えれちゃうというメリットもありますしね。
こういった音楽の使われ方が減ってきてると思いきや、実はそんなことはありません。
ジングルとは多少違いますが、コピーや字幕ではなく曲と歌詞にのせて伝えたいメッセージをより効果的に届けるという技法は
まだまだ使われています。
それをする場合に大切なことが3つあるそうです、
1.背景にしっかりとしたコンセプトがあること
2.字だけでは表現できないストーリーテリングができていること
3.ブランドイメージにしっかりとのっとったものであること
いくつか例を出すと・・・
OLD SPICE – MOM
“ついにこの時が来てしまった
いとしの息子がついに「男」になってしまった
あたしの子もなってしまった。誰のせいかははっきりとわかってる
息子が女の子とあんなことやこんなこと
オールドスパイス!息子を男に変えてしまった!
女の子とキスはするわ、家事は手伝わないわ
ちっちゃなお手てにちっちゃな足の愛しの息子だったのに
今は女の子を触って、キスして、感じて、それは全部
オールドスパイス!
息子を男に変えてしまった!
匂いも男になり、扱いも男になってしまった”
英語だと言葉遊びだったり、ライムしてたりしてもっとおもしろいです。
このCMはお母さんが歌ってるからおもしろいですよね。ナレーションだったりしたらおもしろさは半減してたでしょう。
HONDA – GRRR
こちらも有名ですよね。説明するまでもありません。
あとは、
RAGU – LONG DAY OF CHILDHODD
“まだ8時なのに親がベッドの中で・・・
必ずノックしろと教わったはず
彼にはRAGUが必要だ、大人になるということはつらいことがつきものだから
彼にRAGUを食べさせろ、もう十分つらい思いをした”
トラウマ発動!
曲のライセンシングの変わり方についてもしゃべってました。
昔々、TVCに音楽を提供するのはアーティストからするとダサいとされていました。全然ロックちゃうやん、っていう。
ただ徐々にロックバンドがクルマブランドのCMに音楽をライセンシングするようになり、少しずつイメージが変わってきました。
クライアントもアーティスト自体も相乗効果があることに気づいたんですね。
こういう風にアーティストとTVCの関係性は進化してきたのですが、今もまた違うトレンドがきています。
いくつか事例をあげて説明していきます。
CHIPOTLE – BACK TO START
たしか2年前?とかにグランプリをとった作品ですね。
元々はオリジナル曲を作ろうという考えただったんですが、しっかりとした歌詞があるものがいいんじゃないか?既存の曲のほうが合うんじゃないか?というアイディアがあがり、音楽会社は30個ぐらい曲をプレゼン。
その中にあったのがCOLD PLAYのTHE SCIENTIST。クライアント、クリエイティブ全員がいいね!!伝えたいメッセージとも歌詞がリンクしてていいね!!あると思います!!となりました。
ただ、COLD PLAYは過去に広告に自分たちの曲をライセンシングしたことはありませんでした。しかしオファーしてみると、OK。COLD PLAYはフェアトレードをサポートしてて、このCMに心打たれたんですね。
さらに曲をそのまま使うのではなくWILLIE NELSONでアレンジしたいのオファーも快くOK。
この成功例もあり、次のキャンペーンでは・・・
CHIPOTLE – THE SCARECROW
この曲はBACK TO STARTの事例とは逆で1971年の映画『夢のチョコレート工場』で使用された昔の曲を近年有名なFIONA APPLEがアレンジするというもの。ブランドイメージを形成する上でこの2曲はとても大切な役割を果たしました。
ちなみにこの2曲はCHIPOTLEが所有してます。
オレオの事例
ブランドメロディを作る上でバックボーンとなるアイディアはとても大切です。
このオレオのキャンペーンでのキーワードは、
WONDER IF I GAVE AN OREO TO。。。?
○○○とオレオをシェアしたらどうなるだおう・・・?
でした。
音楽会社のクリエイティブ・ディレクターは歌いながら考えていたらふと、「もしも小さな男の子が主人公だったら誰にシェアするだろう?」と思いつき歌詞してみたら、それがそのままCMとなりました。それがこれ、
OREO – Wonderfilled Anthem
訳すのめんどくせぇ・・・なんて思いません!!!
“悪い狼にオレオをあげたらどうなるだろう?
どうなお話になるだろう?
まだお家を壊すかな?
それとも家を一緒に建てるために
子豚にかっこいい飾りをもってくるかな?
殺されずにすむかな?
吸血鬼にオレオをあげたらどうなるだろう?
死んだふりをしないかな?
血の代わりに牛乳を飲むかな?
なんだうまく行く気がする
なんたってクリームには不思議な力がある
チョコレートサンドに挟まれて夢がある。
大きいサメにあげたらどうなるだろう?
赤ちゃんアザラシと一緒に食べるかな?
巨大イカと呼んで仲良く食べるかな?
オレオをあげたら・・・
オレオをあげたら・・・
あなたにオレオをあげたらどうなるかな?”
もちろんこれだけにとどまずはずもなく、色んなバージョンが制作されました。
今度は女の子の気持ちになって、お父さんの日に合わせてつくられたのがこちら。
OREO – Wonderfilled Father’s Day
ティーネージャーの女の子の気持ち。
なぜかオレはこれが一番好き・・・オレの中に小さな女子高生がいるんだと思う・・・
OREO – Wonderfilled Song feat. Kacey Musgraves
OREO Wonderfilled Song feat. Chiddy Bang
ラッパーバージョン。これは・・・どうなんだ。
こんな感じで違うシチュエーションで違うジャンルの人にうたってもらいました。
1個目はOWL CITY。2個目はただの女の子かな。3個目はKacey Musgravesというカントリー・ミュージシャン。4個目はChiddy Bangというラッパー。
これらのCMでも言えるんですが、バンドの名を全面に推してないんですね。
商品がヒーローあり、バンドはそれのサポーターのようなもの。
昔のようにバンドの曲をそのまま使ったり、バンドにCMのための曲を作曲してもらってレコーディングしてもらうというよりは、
音楽会社が作詞作曲し、それを歌ってもらうという方法をとっています。
そのためバンドを”セレブ”として扱うのではなく、いちアーティストとしてCMで使っています。
そして明日は最終日!!!