はじめまして。

AOI Pro. 国際ユニットにクリエイティブ・コーディネーターとして入社した塩津です。

私はロンドンの大学、現代メディア科で写真を専攻しました。「人が“美”と感じるものは何か」を追い求めてファッション広告に出会い、ファッションウィークで写真を撮ったり、モデルエージェンシーで働いたり、必死になって綺麗な人を追いかけていました。笑

今回は日本でもVogue JapanやMulberryの広告で知られるイギリス人フォトグラファー;Tim Walker を紹介します。

Self Portrait with Cakes. 2008

Self Portrait with Cakes. 2008

好きなケーキに囲まれてしあわせ!でも食べ過ぎて病気になっている、すごくTimらしい自身の自画像です!自分のことを空想家と呼ぶように、誰もが子供のときに夢見たファンタジーを彼は表現します。しかもデジタルではなくフィルム!ほぼ修正なしで自然光による撮影です。

Lily Donaldson & Jonas Kesseler with Spitfire. 2009. British Vogue

Lily Donaldson & Jonas Kesseler with Spitfire. 2009. British Vogue

あれ?これってファッション?モデルや服よりも写真の大部分を占める戦闘機;スピット・ファイアに目がいきます。でも彼の写真はあくまでファッション写真。大掛かりなセットデザインは主人公を取り囲むストーリーを表現するために必要なだけのもの。

Malgosia Bella & Skeleton. 2009. Harper’s Bazaar

Malgosia Bella & Skeleton. 2009. Harper’s Bazaar

巨大な骸骨…そして花畑。つかれきったような赤毛の女性。よく見ると骸骨も泣いています。いったい何があったのでしょう?Timの写真では、モデルもポーズをとるというより、演技をしているようです。

これは春夏2011年のMulberryのキャンペーン。彼が撮る広告は、広告でありながら彼らしく大きなプロップを使い、実際の商品よりもシーズンのアイディアを強くだしています。広告は商品が綺麗に鮮明に写っている事が当たり前。広告は消耗品。というアイディアを打ち勝ちます。Timのような真のアーティストは貴重です!

Lindsay Wixson & Giant Doll. 2011. Italian Vogue

Lindsay Wixson & Giant Doll. 2011. Italian Vogue

Like a Doll

上のビデオは、伊Vogue に撮影された写真と一緒に撮られたものです。

ストーリーがあるなら写真じゃなくて映像にしてしまえ!というのは難しいもので、撮影中のメイキングでしかないような感じがします。というのもこういった映像はアーティストの作品であって、広告のように用途が定まっていないことが多いからです。

最近ではどのファッションブランド、ウェブマガジンもファッションフィルムに力を入れています。しかしファッションフィルムはいわゆるCMと違ってアート性が強く、ストーリー性が少ない。俳優や女優ではなくモデルを使う場合が多いので、演技よりもファッションや演出がメイン。最近ではモデルにセリフがあることもあり、ショートフィルムのような大規模なものも続々と出てきました。今後のファッションフィルムの未来に注目です!