皆さん、こんにちは!
CICLOPE ASIAがいよいよ明日開催ですね!

今日はAOI Pro.の一員であり、CICLOPEの審査員経験のあるジュリートーマス戸田さん(Julie Thomas-Toda)にCICLOPE ASIA、フィルムクラフトについてインタビューしたブログ記事をお届けしようと思います。

まずはジュリーさんの紹介から!

ジュリートーマス戸田 (Julie Thomas-Toda)
ハワイ・ホノルル出身。1991年AOI Pro.入社。文化と言語の壁を越えたフィルムクラフトへの強い思いから、海外のクリエイティブプロフェッショナルや制作会社とのコラボレーションにおいて業界を牽引し、異文化を取り入れた広告を日本に根付かせるきっかけを作った。
クリエイティブコーディネーターとしてNissan、Honda、Toyota、Sony、Panasonic、Coca-Cola、Shiseido、Nike、Kirin、Asahi、Nestle等の広告制作に携わり、世界を舞台に活躍。ADFEST Film Craft部門、Ciclope、Young Director Award, SHOTSなどの広告賞で審査員を務めた経験がある。

-CICLOPE ASIAとは何でしょうか?

シクロぺはフィルムクラフトの祭典であり、世界中で開催されています。例えばシクロぺアフリカ、シクロぺ南米などがあり、その中にシクロぺアジアもあります。ベルリンで行われる元々のシクロぺは毎年行われていますが、シクロペアジアはまだ2年目です。去年初めてシクロペアジアが開催され、アジアとされる全ての国々が参加しました。アジアの国とみなされる基準は分かりませんが、昨年はニュージーランド、オーストラリア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、中国、台湾、そしてもちろん日本など、様々な国が参加していました。

-CICLOPE ASIA開催の意義はどんなところにあるでしょう?

フィルムクラフトは各国・地域の文化、社会、規範と価値観等に影響されているため、その特性はそれぞれ全く違います。アジアで制作されるフィルムも世界の他の地域のクラフトと比べると非常に異なります。例えば、使用しているレンズの種類、色、照明等は各国・地域の違いが明確です。 個人的な意見ですが、アジアのフィルムクラフトはまだ十分な注目を得ておらず、残念ながら国際的にもあまり認知されていません。

なぜこれが問題なのかと言うと、本来広告祭では審査員達が自身の持つ知識や技術を基準に審査を行うのですが、各審査員はそれぞれの知識や技術を習得した環境に大きく影響されて形成されてるからです。つまり、海外のフィルムクラフトのスタイルを見たとき、それぞれが素晴らしいクラフトと感じる基準や価値観が異なるということです。評価基準は、個人のレベルであっても審査員によって異なるように、地域の違いの影響は非常に大きいです。

-日本のCMクラフトの特徴はどんなところでしょうか?

日本のCMは大体15秒なので、海外のCMに比べると内容を早く理解しないといけません。ストーリーで何を伝えようとしているのか、推測する時間を視聴者にあまり与えることができないのです。つまり、15秒の間で遊ぶ余地はあまりないのですぐに理解させる必要があり、ストーリーは非常に明確でないといけないのです。

ですから日本のCMの場合、分かりやすいキャスティングが多く、有名人を起用する傾向があります。ストーリーテリングに時間がもっと使える場合、カメラの動きや出演者のパフォーマンス等を通してストーリーを深める事ができますが、15秒しかない場合はマンガのように明確でなければなりません。実際のCMはマンガのように描かれているわけではありませんが、日本のクラフトには分かりやすさと明確さから生まれた技術があるという事の良い例だと思います。カメラの動き等をあまり組み込めない中で物語を伝える特殊なクラフト文化なのです。

-フィルムクラフトの大切さとは?

多くの広告祭ではまずアイデアを重視し、次にクラフトの要素が見られています。しかしどんなに素晴らしいアイデアでも、クラフトでうまく表現されなければアイデアも失敗に終わります。 シクロぺはそう言ったクラフトを第一に尊重した広告祭です。AOI Pro.のような制作会社は、優れたクラフトを通して代理店・クライアントのアイデアに命を吹き込み、実現するのが仕事なので、シクロペのような広告祭は特に重要なのです。

私はクラフトは大きなパズルだと思います。作品に関わる会社、人々、ロケーション、音楽、編集者など、全てピースなのです。適切なピースを見つけることにより、すべての要素が完璧にフィットし、クライアントの表現したいストーリー/映像が完成します。なので、アイデアの価値レベルをさらに上げる為にも、クラフトの重要性を日本の広告業界全体でもっと尊重してもらえればと思っています。

-どんな人がCICLOPE ASIA に来られるでしょうか?

去年は代理店や制作会社の方々、また映像監督等がいらしてました。ただ、イベント開催初年度ということもあってか、あまり多くの人に知って頂けていなかったように思います。しかし、年を追うごとにアジア中の人を東京に呼び込んで来るのではないかと思っています。もしかしたら次の開催場所は東京じゃないかもしれませんね。

シクロぺは作品の様々な要素に触れているので、さらに多くの編集者、撮影監督、音楽関係者、アニメーション関係者の方々に来て頂けると素敵ですね。多岐に渡る分野の制作者が東京に集い、素晴らしいネットワークが築ける良い機会です。

-CICLOPE ASIAに人々が集まるのはなぜでしょう?

アジアの作品に触れられるだけではなく、東京に足を運ぶ良い機会になっているのではないでしょうか。アジアの国や街はどこもユニークで全く違う魅力を持ち合わせており、“アジア”と一括りにすることが出来ないように感じます。もし東京を訪れたことがなければ、ぜひ足を運んでみてください。人生の半分を日本で過ごしている人間として、まだアジアに足を踏み入れたことがない人が数多のユニークなアジアの国々を冒険する第一歩に、日本は最適だと胸を張って言えます。

初のインタビュー 記事如何でしたでしょうか?
Thank you Julie! お時間を頂きありがとうございました!

引き続きCiclope Asiaの情報をお届けするので、お見逃しなく!