インドにおける広告業界は、誠実さに目覚めて精神的なバリアを打ち破り、保守的な方法をギブアップしようとしています。

ちょっと想像してみてください。とある娘が、男の子に興味ないと両親に伝えるところを。若い女性が、タオルだけを体に巻いている中年の男性から目を離せない様子を。二人のレズビアンが洋服を整えながら、クローゼットから出てくる姿を。色っぽい女性が、子どもの前で再婚するシーンを。
しかも、これらのシーンは、嫁姑問題のドラマを楽しむ高潔な中流階級が見る国営テレビ局で流れているのです。

中でも、特に注目すべき2作品を皆さんとシェアします。

Tanishqのウェディングフィルム

とてもすばらしい作品。そして、程良いレベルでインドを沸かせています。このCMでは、再婚の場をバックグラウンドに、コンテンポラリーなウェディング用のジュエリーを紹介しています。このフィルムによって、他とは違うデザインを求めている若い女性にアプローチしています。

このフィルムの始まりシーンでは、花嫁が結婚式に出る準備をしています。インドの結婚式で使われる楽器である「shahnai」の音がバックに流れながら、花嫁は友達たちからTanishqのウェディングジュエリーを付けてもらっています。すると、花嫁はドアのそばに立っている小さな女の子を見つけ、入って来るよう合図します。お互いに楽しくじゃれ合ってから、花嫁は女の子の額に宝飾品を飾ります。そして手をつないでmandap(結婚式の舞台)まで歩いていきます。
式が始まり、花嫁と花婿はhavan(聖なる火)の周りをぐるぐる回ります。女の子はそばに座っている人たちに、自分もカップルと一緒に火の回りを歩きたいと訴えます。周りの人には無視されてしまうので、女の子は、直接花嫁にお願いします。その際、「ママ」と呼びかけたことによって二人の関係が暴露されます。花嫁は「静かに!」と口に当てる手振りをして歩き続けます。だが花婿は女の子ががっかりしていることを感じ、そこで女の子を抱き上げてその後は三人で聖なる火の回りを歩きます。この行動によって花嫁に笑顔を浮かべます。女の子が花婿に「お父さんと呼んでいい?」と聞く場面でフィルムが終わります。そして、「A wedding to remember–Tanishq」(記憶に残る結婚式–Tanishq)というナレーションで締めくくられます。

クライアント:Tanishq
Creative agency: Lowe Lintas and Partners

クリエーティブ・エージェンシー:Lowe Lintas and Partners
クリエーティブ担当:Arun Iyer、Rajesh Ramaswamy、Ujjwal Kabra、Rexena Devraj、Indrasish Mukherjee、Adarsh Atal
制作:Lintas Productions

監督:Gauri Shinde

もう1作品、Fastrack “Come Out of the Closet”

とっぴなアプローチ、ムード、セッティングと音楽で構成されているこのCMがインドで受けたのは驚きです。
このフィルムは、ガタガタ揺れるクローゼットの映像で始まります。扉が開き、一人の女性がクローゼットから現れると、Fastrackの腕時計で時間を確かめます。すると、もう一人の女性がもう一つの扉を開けてクローゼットから歩き出します。二人は、クローゼットの中での出来事をほのめかすかのようにお互いを見つめると、逆方向に歩き去ります。出てくるメッセージ「Come out of the closet… Move On」(クローゼットから出て来い・・・どんどん進め)とあります。

ブランド:Fastrack
エージェンシー:Lowe Lintas
ナショナル・クリエーティブ・ディレクター:Arun Iyer
制作会社:Flying Pigs Production
監督:Bharath Sikka