皆様、お疲れ様です。

GB部の茆です。

ブログを書くのは結構久しぶりですね、笑。

今日は中華圏の春節の大晦日で、中国らしいご挨拶をさせていただきます〜笑

衷心祝福大家春来万木荣,虎年今胜昔!(寅年の本年が皆様にとって、力強い生命力に溢れ、向上する佳き年となりますように! )

うちはアジアトップの制作会社として日本のみならず、海外の広告や映画等の映像作品、その技術や映像表現はもちろん、それ以外のマーケットやトレンド情報等もどんどん収集していく必要があると思います。

海外と言えば欧米でしょう、というイメージは強いですが、今回はすみません、欧米のではなく、中国の映画についてみなさんに少し紹介したいと思います。中国出身ということで、日本であんまり知られていない中国映画の情報をシェアできればいいなと思います。

まず、去年(2021年)の世界映画興行ランキングのトップ3の映画はご存知でしょうか、笑。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、答えで言いますと、下記になります。

1(アメリカ)『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』12億1754万ドル
2(中国)『長津湖』9億254万ドル
3(中国)『こんにちは、私のお母さん』8億2200万ドル

つまり、2021年ワールドワイド興行収入ランキングのトップ3に中国映画が2本入っております。

中国の昨年の映画興行収入は日本円換算で8500億円を上回りました。北米市場(約5200億円)を上回り、2年連続で世界最大の映画市場となりました。そして、2021年の原動力となったのは中国の国産映画で、朝鮮戦争の戦場を描いた『長津湖』という映画です。去年の年末ぎりぎりに米人気映画シリーズ「スパイダーマン」の最新作に抜かれるまでは世界首位でした。

あれ?!はい、そうなんです、世界範囲で見ると去年の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『ゴジラvsコング』、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』等のハリウッド映画より『長津湖』の方が売上的に良かったのです、笑。正直僕も驚きました。

ということで今日はこの『長津湖』という映画を簡単に紹介しつつ、自分なりに分析をし、弊社今後のビジネスチャンスにも生かせればいいなと思います。

『長津湖』(ちょうしんこ、英題:The Battle at Lake Changjin)は、2021年製作の中国映画で、70年前の中国とアメリカの代理戦争とも呼ばれている朝鮮戦争の中の「長津湖の戦い」を映画化にした戦争系映画になります。参戦した中国の兵士たちがマイナス40度超の厳しい寒さの中で、米軍と戦う姿を描くあらすじです。

日本では未公開ですので(すみません、未公開なんです。。。)、中国語のみの映像資料になりますが、ご覧ください。

Movie Trailer:

BTS:

長津湖の戦いの歴史に興味お持ちの方はこちらにご参照ください。↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%B4%A5%E6%B9%96%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

本作については下記の情報を調べてきました。

監督:徐克(ツイ・ハーク)(71)、陈凯歌(チェン・カイコー)(69)、林超贤(ダンテ・ラム)(57)
制作費:13億人民元(約2億米ドル/231億日本円)
興行収入:2021年12月21日時点で約9.025億米ドル(約1031億日本円)
撮影期間: 2020年12月14日 至 2021年5月25日
オンエア時間:2021年9月30日(中国建国記念日に合わせるため)
尺:176 分(2時間56分)
製作会社:博納影業 八一電影製片場(軍事テーマを専門にする制作会社)
配給:博納影業
現在上映国/地域:中国本土、香港エリア、マカオエリア、シンガポール、アメリカ、カナダ、オーストラリア等

制作チームは7000人超、エキストラは述べ7万人を動員するなど、中国映画としても投資、製作の面で破格の規模となったそうです。

初公開してから、3ヶ月で 興行収入が9.025億米ドル(約1031億日本円)になり、うちでよく使う原価率で言いますと22.5%になり、まあまあいい成績ではないでしょうか?笑。

もちろん、中国や他の国においては反対の声もありますが、ある意味で成功した映画だと言えるのではないでしょうか。

数字だけではみなさんに規模感や経済効果は分かりづらいでしょうと思いますので、一応データを集めて表を作りました。もちろん、表の中の数字は公表されるタイミングや為替によってズレがあるかと思いますが、概ねにこういう感じになります、ご参考になれば幸いです。(図1、図2ご参考ください)

図1(リンクになります)

図2(リンクになります)

僕たちにとって今後世界最大の映画市場である中国とどう向き合うのかという考えに基づいてこの映画が成功した理由を少し自分なりに分析しましました。↓

1、メインターゲット市場が非常に明白
世界最大の映画市場の中国を中心にしていますので、基本中国側の視点で映画を作っています。中国の観衆たちが何を求めてるのか、何を観たいのかをちゃんと理解していて、中国式英雄を作って、中国人ならではのアイデンティティーをうまく引き出し、民族的感情をバランスよくストーリーの中に入れ込んでいると思います。結果的に興行収入の大半が中国市場が貢献していたらしいです。

2、「旬」のテーマ
2021年は中国共産党建党100周年で、更に映画のオンエアのタイミングが中国の建国記念日に合わせています。
国際的背景としては2021年も引き続き中国とアメリカ両国の角力の年で、このタイミングで中国政府の好きそうなテーマにするのは損はございますん。中国政府も本作を嬉しそうに持ち上げていたみたいです。笑

3、視聴感覚的に繊細、迫力・インパクトのあるシーンが多数
どんだけ民族感情が込められると言っても映画としての娯楽要素がないと一般の人はお金を払ってわざわざ映画館に行かないと思いますので、作品中のビュジュアル部分も優れてると言えると思います。
とにかくリアル性が非常に良いということで臨場感が半端ないです。そして、色合い、SE、著名な俳優の起用、演技力、美術、特殊メイク、CG、スタッフの規模などなど、インパクトというか迫力というか言うまでもない強いです。

まあ、歴史を題材にした本作は観る人によって賛否両論でしょう。作る人の立場や価値観によって、仕上げた作品は必ずしも全員が納得するわけがないはずですが、結果的にはまあまあ良い作品だと言えるでしょう。冷静になって、本作を一つの例として分析し、中国マーケットの好みやトレンドを把握しといた方が良いかもしれないです。もちろん映画だけではなくてCM等の全ての映像作品にしてもご参考になれば幸いです。なぜかと言いますと、お金を敵に回すのは誰にとっても嫌なことでしょうと思いますから、笑。