再びWataruです。
いよいよカンヌが近づいてきましたね!

今回で受賞予想は最後です!
まじめ系が多いです。

Deng Thiak Adut
Client: Western Sydney University
Agency: VCD + WE.Collective
Production: Finch
Director: Jae Morrison

難民から弁護士まで上り詰めたDeng Adutを追った、ウェスタンシドニー大学の作品。

6歳のときに母親から浚われ、無理やり戦争に巻き込まれたAdut氏。幸いなことに国際連合に拾われ、西シドニーで新しい人生を歩むチャンスを手に入れる。

そんな過酷なバックグラウンドを持つ彼は、人を守れる弁護士を目指す。
最後のAdut氏の立派な姿を見つめる母親の悲しげで、どこか誇らしげな表情がグッときますね。

ナレーションもなく、音楽と字幕だけで語っているので、映像に引き込まれます。

こんなにもつらい過去を持っていても、立派に成長している彼を見て、勇気付けられます。

Don’t Label
Client: Fair Welcome
Agency: Mindshare
Production: Shoot Happens, Copenhagen
Director: Sune Svanborg Sorensen

偏見や差別に対抗するNGO「Fair Welcome」のキャンペーン。

道行くマイノリティの人たちにレッテルを貼り、差別的な表現で人を呼ぶおじいさん。
そこで、映像が巻き戻され、偏見ある単語一つを変えて、改めて再生されます。

いくつかご紹介します:

Look at these apes smiling at me.
おれを見て笑う猿たちを見てみろよ。
        ↓
Look at these guys smiling at me.
おれを見て笑う男たちを見てみろよ。

Muslims with their shops on every street corner of the city.
すべての街角に店をかまえるムスリムども。
        ↓
Grocers with their shops on every street corner of the city.
すべての街角に店をかまえる食料品店の店員たち。

Everything has changed, now that the immigrants are here.
移民どもがきてから、すべて変わった。
        ↓
Everything has changed, now that all the families are here
いろんな家族がきてから、すべてが変わった。

そして、最後のコピー:
” A single word can change perception – change it to an unprejudiced one”
「単語一つで捉え方が変わる – 偏見のないものに変えよう」

ここまで印象が変わるものなんですね。
おじいさんが嫌悪感を込めて話しているように聞こえたものが、単語一つ変えることで、少しうれしそうにも聞こえます。

呼び方一つで人は軽んじられ、非難され、除外されしたような気分になります。
僕は決して口が悪いほうではないですが、今後気をつけることにしました。

Share the Load
Client: Ariel
Agency: BBDO Mumbai
Production: Red Ice Productions
Director: Shimit Amin

「時代とともに進化していない男女の役割」について考えさせられるアリエールのCM。

娘と孫の家に遊びに来ているおじいさん。
仕事の電話をしながら、料理し、片付けをし、子供の世話もしながら、洗濯もするOLの娘。
その姿に驚き、心配そうな表情で見つめるおじいさん。
そんな娘に置手紙を書き、どれだけ誇らしいか、また、どれだけ苦労をかけているかを謝罪。
最後に、自宅に戻り、奥さんが洗濯物を取ろうとすると、おじいさんが自ら洗濯機に向かい、洗濯物を入れる。

そしてコピー:
“Why is laundry only a mother’s job? Dads #ShareTheLoad”
「なぜ洗濯は母親だけの仕事なのか? お父さんたち #負荷分担しよう」

当たり前のように母親に家事を押し付けてきましたが、今後はできるだけ手伝うようにします。

Taxi
Client: Tesco Lotus
Agency: The Leo Burnett Group, Thailand
Production: The Leo Burnett Group Thailand
Director: Woottidani Intarakaset

無銭乗車され、安いご飯を食べ、ミラーを壊され、ゲロを吐かれ、ボコられるタクシー運転手。
もう散々ですね。
そんな彼の帰りを待つ子供。そこで、実は彼が母親だったことが明かされる。
完全に男だと思い込んでいたので、びっくりしました。
そこから、彼女がタクシー運転手になったのは、すべて子供のためだとわかります。

“We, believe in the POWER OF WOMEN.”
「我々は、女性の力を信じている」

というコピーにふさわしい内容ですね。

男に偽装して、つらい仕事をこなし、子供を支えようとする母親の覚悟に脱帽です。
世界中の女性へのエールが伝わる作品ではないでしょうか。

Pocket Money
Client: ANZ
Agency: Janine Wertheim
Production: –
Director: Celeste Geer

ANZ (オーストラリア・ニュージーランド銀行)が国際女性デー2016のために作った映像。
男女の賃金の差、男女同権について語っています。

この映像はANZのTwitterやFacebookなどのSNS上で、#EqualFuture(平等な未来)というハッシュタッグでシェアされたそうです。

兄妹に同じ手伝いをさせ、現実と同様に、女の子により少ないお金を与える。

子供たちには男女に差があるという意識はなく、不平等だと訴えています。すごく大人な口調で。
純粋な気持ちで話すので、心にきますね。

褐色の男の子がこの現状について「女性と男性は同じ額を貰うべきだ。50:50で。大人になったら、僕が変えてみせる。それまでに忘れなければ。」と男らしく宣言しています。
こんな歳で、僕よりまじめな発言をしていますね・・・将来に期待です。

以上、グローバルプロダクションチームからの受賞予想でした!
どれか予想が当たるといいな~
ありがとうございました!