スパイクス、今年もあっという間に終わりました(参加された方は本当にお疲れ様でした!)。

今年もやはりデジタル部門は日本強し!という感じでしたね。
全体的にも、今までより日本の存在感が強かったですね、セミナー、審査員、、
それから今年のインディペンデント・エージェンシー・オブザイヤーはPARTYが取ったり、エージェンシー・オブザイヤーも2位が電通Tokyoだったり。
アジアでの日本の広告の立ち位置を実感する今回のスパイクスでした。
受賞した皆様本当におめでとうございました〜(^^)/
(受賞作品は→こちら

受賞作品やら、セミナーやら、紹介したいものが沢山ありますが、今日はAKQAのセミナーのダイジェスト。稲本レイさんのプレゼンテーションには毎回とてもインスパイアされるんですが、今回もまた、少し先の未来を照らしてくれる、大変勉強になる内容でした。


ステージに登場したレイさん、トレードマークの☆シャツがいつもと色違い!

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テーマは“The Future of Advertising isn’t Advertising”(広告の未来は、広告ではない)。

二次元の世界しかなかった時代、三次元が発見されたように、それまでの常識が覆されるような大きな事が今起こっている。

1. FUTURE IS SOFTWARE
未来は、テレビCM、グラフィック、デジタル、野外広告、ラジオ、ではなく、ソフトウェアそのものだ。

ソフトウェアを作らなければならない。つまり、一度きりでゴミになってしまうキャンペーンや広告ではなく、ソフトウェア、つまり、常にアップグレード、アップデートできるようなものを作らなくてはならない。

それは、家を借りると、買った時の、一ヶ月に払う金額は同じだが意味は違うのと同じ。買ったら、一ヶ月に払う金額はその分自分のものになってゆく、そういうものを作る必要がある。

2. FUTURE IS PRODUCT ITSELF
未来は、メディアではなく、プロダクトそのもの。
今までのようにメディアを使って何かを表現するのではなく(紙媒体で「資源を無駄にするな」と訴えている広告の矛盾を例に)、表現したい事が商品自体に組み込まれる事が大切。

学生が考えたアイディアbing automaticは可能性を感じると紹介。
Bingの検索システムの広告を作るのではなく、Bingが全てのアプリケーション(ワード、エクセル、パワーポイントなど)に接続されていて、例えばワードでレポートを書いていたら、書いている内容に応じて右に検索を予測してくれて自動で出てくるようなシステムの開発、など。

3. FUTURE IS BRAND BEHAVIOR
未来はブランドが表現するストーリーではなく、ブランドの「態度」そのもの。
今の広告は、ブランドが売り出したい内容をクリエイティブなストーリーを持って表現して、消費者に伝えているが、これからは、ブランドの「態度」そのものがそのブランドを作る。

Curators of Swedenは良い例。
スウェーデン政府が、自国をPRするためにやったキャンペーン。
1週間、スウェーデン人に国公式のツイッターアカウントを渡し、何でもツイートしていいとするもの。
ところがそこでツイートの内容がどこかの人種差別だという批判で炎上してしまい問題に。
そこでスウェーデン観光局は、それでも本人からツイートの権利を取り上げなかった。
その「態度」こそが、スウェーデン人に対する「言論の自由」を守りぬくというスウェーデンに対するブランドを高めた。

4. FUTURE IS FRANCHISE
未来は広告キャンペーンではなく、ビジネスのフランチャイズだ。

日本で過疎化してしまったある街の話。経済の危機の中、お年寄りがほとんどの街をどうPRしたか?そこでCMを打つのではなく、住んでいるお年寄りに落ち葉を拾ってきてもらい、それを料理の装飾用に都内へ売るというビジネスを立ち上げた。

5. FUTURE IS 365
未来は今のように消費者を360°オールメディアを使って囲むのではなく、消費者と365日対話する時代である。

テクノロジーの進化のせいで、我々は今テクノロジーの消費者の注目を集める事に頼ってしまっている。

皮肉な話しだが、もしもKodakがInstagramを開発していたら?倒産していなかっただろう。彼らのブランドを革新させる事ができてたかもしれない。American Expressがsquareを開発していたら?conde’nastがflipboardを開発していたら?…

成功したら、その時点で落ち始める。だから、常に新しいものを開発し続けなければならない。

これからは、365日、消費者と対話すること。

そして最後に、レイさんが何でもない父親との会話で号泣してしまった、という話から、「我々の仕事で何よりも大切な事は、人の心を動かす事だ」と。

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