アメリカの広告の中のLGBTQ (Qとはどんな意味?)
今では、誰もが頭文字LGBT(lesbian, gay, bisexual, transgender)の意味をご存知でしょう。でも最近では、最後にQが付いたものも多く目にするようになりました。この”Q” とは、自分の性的指向について疑問を投げかける “Questioning” に由来します。
アメリカではここ数年で、特に結婚や家族のあり方、そして職場での多様性の点において、LGBTに平等な権利を与えることに多くの関心が払われるようになってきました。広告は、わたし達のものの見方、考え方、理解や行動の仕方など、社会を形作るのに大きな役割を果たしています。これによって、ブランドは広告を打つとき、自社の商品やサービスに関してだけではなく、今日のコンシューマー、特にLGBTが直面する政治的そして社会的な問題に対しても説明責任を負うようになりました。これはLGBTのコミュニティを認め、受け入れるだけではなく、ブランドが自社のスタンスについて明確にする為の機会でもあるのです。
かつてアメリカの広告業界の変革は、ブランドが、異なる人種や民族をフィーチャーし始めたところから始まりました。そこに今、異なる性的指向を持つ人たちが加わろうとしているのです。このようなことは、まだ日本で見たことがありません!!!
最近、アメリカのメジャーな銀行であるWELLS FARGOは、”Learning Sign Language”というとてもハートヴォーミングなCMを発表しました。最後のタグラインは“2人が3人になるとき”と言っています。
Wells Fargoは、障害を持った子供を養子とすることについてだけでなく、同性の親に関しての認知を高めたのです!!Wonderfull!!
アメリカで一番大きなグリーティングカードの会社であるHallmarkは、母の日に合わせて、母への愛を語る若者をフィーチャーしたCMを発表しました。Hallmarkの、#PutYourHeartToPaperキャンペーンの一環です。このCMの凄いところは、フィーチャーされている若者が実は元々は少女だったという事実だけではなく、これをHallarkが発表したという点です。アメリカで生まれ育った人であれば誰であってHALLMARK MOMENTというものを知っています。Hallmarkは、誕生日やクリスマス、記念日や死のような、人生の大きなイベントで伝統的な役割を担ってきました。
Alex & Pam: Hallmark #PutYourHeartToPaper
でもHallmarkがLGBTのキャラクターにスポットライトを当てたのはこれが最初ではありません。バレンタインデーカードのキャンペーンでは、Eugenia とCorinnaというレズビアンカップルを取り上げていました。
Eugenia & Corinna: Hallmark #PutYourHeartToPaper
もっと驚きなのは、アメリカの自動車メーカーChevroletが発表したCM、”The New US”でしょう。今作では、ゲイ、レズビアン、人種ミックスの家族、シングルペアレント、そして養子縁組をした家族がフィーチャーされています。キャッチコピーは“家族であることの意味は変わりませんが、家族のルックスは変わりました・・・あなたの家族がどんな形であろうとも”とあります。
The New Us – Chevrolet Traverse
日本の自動車メーカーが、同性カップルを広告で取り上げるのが想像できますか?
オリジナルさの面に関して言えば、ChevroletのCMは、昨年の3月に公開されたHoney Madeの”THIS IS WHOLESOME” にかなり似ているように感じます。こちらでも家族の意味を考えさせるような幅広い例が取り上げられていました。残念ながら当時は、娘と2人の父親をフィーチャーしたこの“wholesome(健全)”なファミリーは大きな反感を買ってしまいましたが。
Honey Maid: This is Wholesome :30 TV Commercial | Official
ブランドだけでなはく、政治家もLGBTの権利を支持するのが重要であると感じています。ヒラリー・クリントンは最近、次の合衆国大統領に立候補しました。彼女のキャンペーンCMでは、アメリカ人とは誰であるかが分かるようなあらゆる人たちが見られます。是非、ご覧になってください!
Hillary Clinton “Getting Started”
つい最近、これに似たようなものを日本で始めて目にしました。渋谷区長選挙に立候補されていたKen Hasebe氏のキャンペーンビデオです。友人のFacebookページでこれを見たときに、直ぐにアメリカのことが思い浮かびました。
ということで、日本のメージャーなブランドがLGBTと”Q”の権利をサポートする姿勢を見せ始めるのも時間の問題だと思っています。そしてそれは、例えばニューハーフタレントを単にショックとエンターテイメントを提供するためにフィーチャーするという意味ではありません。さて誰が最初になるでしょうか!?
Enjoy!
Jules