のんびりとしたタイはパタヤから戻り、
アドフェスぼけの脳みそを奮い立て、
ADFEST2014のまとめをお送りします。

今年のADFESTは各所で既報の通り、日本勢が大活躍の年でありました。
そして他の広告賞とは異なる文化的な視点や、幅広いメディアを取り扱っているところから、新たな発見がたくさんありました。
今年の各部門での受賞作品を通して、それを掘り下げていきたいと思います。


FILM部門
まずはFilmから行きましょう。
Grande受賞作品はCluB_Aの永井聡監督作品、
日清CupNoodle 「Globalization」.
Watch the spot here:
http://www.adfest.com/winners2014_showcase.php

今回の審査委員長Tor Myhren曰く、
「素晴らしいアイデアと、文化的な見識と、見事な表現方法が揃い完璧に融合した結果の作品です。」と、地域性が色濃く反映された作品を評価するADFESTらしいGrande賞受賞作品なのかもしれません。
ゴールド賞にはEyesightの「Minicar Light Stream」と、インドからはNikeの「Parallel Journeys」
後者は、これまでNikeがしがちだったプロ選手の描写とは一転して、子どもたちや一般人の描写を通して、より人々に近いブランドであるという認知を広めるのに一役買いました。

 


FILM CRAFT部門
去年に引き続きFILM CRAFTでのGrande賞はなく、
「今年のエントリー作品は総じて少なくて、ウェブフィルムの多くは自己満足的で、Grandeに値するものが無かった」という審査員の手厳しい意見が聞かれました。そんな中、唯一ゴールド賞をとったのは、、
Frooti「The Magic of Frooti」

脳に絡みつくような音楽と、会場で笑いを誘っていた映像自体のシンプルな面白さは、何度見ても飽きません。


DIRECT部門
まず、そもそもディレクト部門とはなんだい?という疑問へお持ちの皆様へ。
DIRECTとは、いかにブランドと顧客を結びつけたか、というところが評価の基準となります。
そこでGrande賞に輝いたのは、キリン一番搾りフローズン<生>「THE PHOTOGENIC BEER」
あの「フローズン生」がビール離れが進む若者世代に向けた広告キャンペーンだったとは、、!
老舗ブランドと若者をつなげたのは、革新的な広告ではなく、商品であったというところが今回のポイントとなったところです。
広告会社から、商品が生まれた。(とはいえ、もとよりクライエントとエージェンシーがチームを組んでいた所に、アイデアが生まれたそう)
それこそがこれからの広告の新しい形であり、今後クライエントとエージェンシーがタッグを組む事が成功するためのビジネススタイルである、という審査員の木村健太郎さんのお話でした。


PROMO部門
PROMOとはなんぞや?と、再び疑問を抱いた皆様へ。
例えば美しいアートを目の前にした時、ああー、美しいなあー。と、傍観者になってしまっては広告の意味を成しません。
そこに対してのアクションを起こしたい!と思わせる、すなわちいかに人を動かすか、という所がPROMO部門で見ているところなのです。
そこでのGrande賞受賞は、またもや日本勢!
ホンダ インターナビ「SOUND OF HONDA/AYRTON SENNA 1989」

この他にもたくさんのトロフィーを持って帰ったこの作品では、いろいろな媒体を通じてユーザーに初めてビッグデータを体感させ、そしてブランドのイメージを180度変化させたという点が大きく評価につながりました。デジタルでありながらどこか懐古的であり、人の感情に訴えかけるというのは、なかなか成し得ない業です。


MEDIA部門
今年から新たに加わったこの部門では、かつて無かった新しいメディア・ソリューションを提案する作品が多く見られ、非常に興味深いものでした。
中でも注目すべき作品は、フィリピン発、ゴールド賞に輝いた
Pampers「ZZZ Radio」

このキャンペーンの革新性は、赤ん坊が聴くと快眠につながりやすいという砂嵐の音に目をつけ、忘れかけられていたラジオという存在を無料の「砂嵐スピーカー」に仕立てあげたところにあります。
Pampersだからオムツをたくさん売るための広告を作る、というのではなく商品に直接の関係はない所であっても利便性を通してブランドをユーザーに訴えかけるというのは、今年見られた一つの傾向でした。
もうひとつこのキャンペーンのポイントとなったのは、ラジオというものがフィリピンの家庭に幅広く浸透しているという着眼点でもあります。
ラジオがどの家庭にもあるものとは限らないここ日本では、同様の効果が得られなかったかもしれません!

まだまだ、続きますー。