90年代から時代を牽引してきたミュージックビデオ・コマーシャルの作り手クリス・カニンガムは、ここ最近では目立った活動がありませんでした。その理由をPocket-lintとのインタビューの中でこう話しています:
「昔は先にアイデアが浮かび、それにあったビデオや曲に巡り合うと、それに合わせてアイデアの調整をしてしまっていました。そこで僕は、「アーティストのように、アイデアをそのまま形にしたい」と考えるようになったのです」
そして彼はまさにそれを、自身のユニークな才能で実現しています。7月、ロンドンのAudio Cityが彼のマルチメディアプロジェクト「jaqapparatus 1」を発表しました。カニンガム自身が作った音楽とロボットが作り出すユニークな体験は抽選で選ばれた人のみに限定公開され 、そのショー内容は毎回異なりアドリブも入ります。

Chris Cunninham’s jaquapparatus1 for Audi City

僕は国際部でインターンをしている Alexander Harrisです。映画制作と編集を学んでいます。この話を聞いたとき、クリスカニンガムが自分だけにしか出来ない取り組みをしてきたことにとても興奮しました。彼の作品で初めて見たマドンナの “Frozen”には衝撃を受け、またビヨーク “All is Full of Love”は今まで僕が見た中で一番好きなミュージックビデオだと言えます。エイフェックス・ツインやポーティスヘッドの作品もそれに相当するくらい好きです。
彼が素晴らしいのは、他にないアーティスティックな観点と特殊効果の経験からそれをそのまま現実にすることの出来る技術です。「All is Full of Love」は1999年にリリースされました。10年以上も前に撮られているにも関わらず、何がCGで何がフィルムでとられているのかの境目が分からない、圧巻の技術力です。この事もこの作品がニューヨーク近代美術館に展示されている理由に挙げられるかと思います。

Bjork “All is Full of Love”

彼が手がけたプレイステーションのCM:

カニンガムはスパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、ターセム・シンなどの監督と名を連ねる素晴らしい映像を作るフィルムメーカーです。彼が制作活動を続けているということがとても喜ばしいのと共に、「Rubber Johnny」を作った彼が次に何をしでかすのかを、とても楽しみにしています。